物理学最前線 KPZ本 サポートページ
本書について
- 竹内一将 著「KPZ普遍クラスの物理学:成長現象から広がるゆらぎの普遍法則」(基本法則から読み解く物理学最前線シリーズ38、共立出版、須藤彰三 監修・ 岡真 監修)
- 2026年2月10日 発売! 各書店にて予約受付中
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書籍紹介・目次
成長現象は、火の燃え広がり、降り積もる雪、増殖する細菌の塊など、身の回りにありふれた現象だ。ところが、これがいま非平衡統計力学や数理物理学の最先端の話題の一つとなっている。成長現象に見られるゆらぎ、たとえば降り積もった雪面の凸凹が、相互作用しながら発達するゆらぎの普遍法則を探究する絶好の題材であるとわかったからだ。この普遍法則は、Kardar-Parisi-Zhang普遍クラス、略してKPZクラスという名で知られており、1次元系では数理モデルの厳密解研究と物理実験が普遍法則を通して交流する極めて魅力的な研究の舞台となっている。
本書は、物理学科などの学部講義で習う程度の初歩的な知識を前提として、成長現象の基礎から、KPZクラスが誘う最先端の物理学までを無理なく習得できるように配慮されている。平易な数学だけで、数理的な厳密解研究が解き明かしてきた驚くべき諸法則を一望できるとともに、確率論や組合せ論、統計力学や量子力学、確率過程などを縦横無尽に飛び回っていくような爽快感も味わえるはずだ。こうした書籍は世界にも存在せず、非自明なゆらぎの普遍法則を知ってみたいと思う学生はもちろんのこと、KPZの中身を理解したいと思う研究者にとっても、最良の一冊となるだろう。
<目次>
第1章 はじめに
1.1 ことはじめ
1.2 本書の構成と道しるべ
1.3 本書で用いる表記法・基礎概念
第2章 界面成長のスケーリング則と普遍クラス
2.1 簡単なモデル
2.2 自己アファイン性とFamily-Vicsekスケーリング
2.3 Edwards-Wilkinsonクラス
2.4 Kardar-Parisi-Zhangクラス
2.5 分子線エピタキシークラス
2.6 クエンチノイズの場合
第3章 KPZ方程式の基本的性質
3.1 確率的Burgers方程式との関係
3.2 1次元KPZ方程式の定常状態
3.3 動的くりこみ群解析
3.4 EW-KPZクロスオーバー
3.5 KPZ方程式は定義できているか?――確率的熱方程式との関係
第4章 1次元KPZクラスの厳密解Ⅰ――多核成長モデル
4.1 1次元PNGモデルの定義
4.2 PNG円形界面
4.3 ランダム行列理論とTracy-Widom分布
4.4 PNG平面界面
4.5 PNG定常界面
4.6 結果の一般性について:普遍サブクラスとスケーリング則
第5章 1次元KPZクラスの厳密解Ⅱ――非対称単純排他過程
5.1 ASEPの定義
5.2 TASEPの厳密解
5.3 ASEPの可積分性1――XYZ鎖との関係
5.4 ASEPの可積分性2――Bethe仮説計算
5.5 ASEPの弱非対称極限とKPZ方程式
第6章 1次元KPZクラスの厳密解Ⅲ――KPZ方程式
6.1 無次元化
6.2 有向ポリマーとの関係
6.3 量子Bose気体との関係
第7章 1次元KPZクラスの相関関数と変分公式
7.1 空間相関関数とDyson Brown運動
7.2 時間相関関数
7.3 定常2点相関関数
7.4 一般の初期条件と変分公式
第8章 界面成長実験
8.1 KPZクラスが関係する様々な界面成長実験
8.2 液晶乱流実験
第9章 KPZの物理学最前線
9.1 高次元KPZクラスの統計法則
9.2 1次元ゆらぐ流体系
9.3 励起子ポラリトン凝縮系
9.4 可積分スピン鎖の異常輸送
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